【実録】理事長交代から6ヶ月。愛着のあったボランティア団体が「別の組織」に変わってモチベーションが消えた話
辛さを感じる誰かの心に寄り添いたくて始めた、傾聴ボランティア活動。
スタートして1年半が過ぎた頃、私は毎週の活動にやりがいと悩みを感じつつ、この活動を自分にとって「大切なこと」だと思っていました。
しかし、トップの突然の退任からわずか半年の間に、団体は目まぐるしく姿を変えていきました。
組織の再編成、広報の強化、ルールの厳格化——。
一見すると「拡大・発展」しているように見えた裏で、現場のボランティアである私の心はどんどん置き去りにされていきました。
今回は、私が体験した「組織の変容と、それに伴うモチベーション急降下の6ヶ月間」を時系列でお話しします。
【事件の始まり】「一生をかける」と言っていた理事長の突然の退任
変化のきっかけは、突然訪れました。
わずか2ヶ月前の研修で、理事長は「この事業に一生をかける覚悟で始めた」と熱弁を振るっていました。その言葉に感銘を受けていただけに、本部から届いた「理事長退任」のメールを見た瞬間は、目を疑いました。
直接の挨拶も一切なく、次の理事長すら決まっていない状態でのあっけない去り際。
私の中に残ったのは、深い驚きと不安、そして組織に対する強い疑念でした。
「この団体は、いまなにをしているんだ?これからどうなってしまうのだろうか……」
【1〜2ヶ月目】組織の肥大化と新たな役職の誕生
退任から2ヶ月の間に、事態は急速に動き出しました。
元事務長が新しい理事長に就任し、同時に大掛かりな組織の再編成が行われたのです。
これまでは「理事長」「事務長」「ボランティア局長」というシンプルな体制だったのが、新たに「研修部」「広報部」「情報管理部」という3つの部署が設立され、それぞれの「長」が着任。さらに広報専任の職員が5名採用されたと発表されました。
本部の体制が急ピッチで大所帯になっていく様子は、現場で活動するボランティアには、どこか遠い世界のような違和感が感じられました。
【3〜4ヶ月目】「管理」の始まりと、冷ややかな注意喚起メール
3ヶ月目を過ぎると、新理事長からのメルマガが定期的に届くようになりました。
「新体制の考え方が見えて、本部との距離が縮まったかな?」と最初は好意的に受け止めていたのですが、変化はすぐに別の形で現れました。
これまでボランティアへの連絡は「ボランティア局」からのみだったのに、新設された各部署や各「長」から直接、一斉メールが頻繁に届くようになったのです。
そしてこの頃、事務長から「規約違反で登録解除されたボランティア相談員」に関する注意喚起メールが届くようになりました。
具体的な問題点は伏せられたまま、「即時登録抹消」「反論不可」「自己責任と損害賠償」といった高圧的な言葉が並ぶメール。組織がボランティアを「共に歩む仲間」ではなく「リスク管理の対象」として見始めている気配を強く感じた瞬間でした。
【5〜6ヶ月目】管理強化とモチベーションの崩壊
5ヶ月目以降、組織の歪みはピークに達しました。
① 「ボランティア掛け持ち禁止」
広報部の活躍によって相談希望者のアクセス数が急増。しかし現場のボランティア数が追いつかず、対応しきれない相談が溢れかえりました。すると本部は、人手不足の解決策として「他の傾聴団体への掛け持ち登録禁止」を通知してきたのです。
ボランティアの自発的な善意に対し、行動を制限し管理だけを強めていく姿勢に、息苦しさは増すばかりでした。
② 相談者の質の変化とトラブルの増加
広報の強化によって窓口が広がった影響か、明らかに「ルールを守らない相談者」が増加しました。
ボランティアの個人情報をしつこく探ろうとしたり、暴言を吐いたりと、本来の団体の活動目的とはかけ離れた目的で利用していると思われる相談者が急増したのです。
安全に守られていない環境で、ただ荒れる現場に放り出されている感覚でした。
【結び】6ヶ月間の変化の末に起こった、自分自身の変化
6ヶ月が経過した頃、私自身の心は完全に折れていました。
ボランティアの現場を直接知らない部署から、次々と届く注意喚起や活動催促のメール。
開くたびにストレスが跳ね上がり、活動へのモチベーションは底をつきました。
そして何より、「寄り添い」を必要としている人に届かず、悪意やハラスメント目的の相談者に振り回される日々に、「私は一体、何のためにこの活動をしているのだろう?」と自分の存在意義を見失ってしまったのです。
おわりに:違和感を覚えたら「自分の心」を最優先に
ボランティア活動は、誰かに強制されるものでも、我慢して自分をすり減らすものでもありません。
トップが代わり、組織の目的が「人の心に寄り添うこと」から「管理・拡大・リスク回避」へとすり替わってしまったとき、そこに無理に留まり続ける必要はないのだと痛感しました。
もし皆さんが所属している団体で、急激なルールの厳格化や現場を無視した指示が続き、強いモヤモヤを感じているなら……それはあなたの熱意が足りないからではなく、組織のあり方が変わってしまったサインかもしれません。
自分の情熱と安心を守るために、「距離を置く」「別の場所を探す」という選択肢を持っておくことは、決して逃げではなく、自分自身を守るための健全な決断です。